パッシブデザイン5つのデザイン その2『日射遮へい』


パッシブデザインの5要素の一つである『日射遮へい』についてご説明します。

前回【その1 断熱】の回では、「断熱性能の向上が夏涼しくなるとは限らない」とお話ししましたが、じゃあどうすれば夏涼しい快適さを実現できるのかというと、今回の『日射遮へい』が重要になります。
日射遮へいは夏のパッシブデザインの基本であり、冷房時にも取り除く熱を減らすという意味で省エネルギーにつながります。

日射遮へいの手法

①窓ガラスと窓まわりに工夫して、窓から入る日射を防ぐ。
②断熱によって、屋根や外壁から室内に入る熱量を少なくする。
③通気層や換気によって、屋根や外壁から室内に入る熱量を少なくする。
④屋根や外壁の仕上げ材の選択によって、屋根や外壁に当たった日射をはじく。
⑤植栽や外構の工夫によって、外壁に当たる日射量を少なくする。


この5つすべてをとらえて日射遮へいのレベルを上げていきますが、一番重要なのは、①窓から入る日射を防ぐことです。
室内に入ってくる日射熱は、窓の開口部から入ってくる量がもっとも多く、全体の約78%を占めるほどです。


窓まわりの工夫には、窓自体の性能だけでなく、日除け部材を使用することで日射遮へいのレベルを大きく引き上げることができます。
たとえば、LOW-E複層ガラスの場合に日射をそのまま当てるのと、外付けブラインドを設置し閉めた状態にするのでは、日射が入る量が4倍以上も違ってきます。

日当たりの良い小窓にも庇を設置

南面の開口部に外付けブラインドを設置

今回は夏を涼しく快適に暮らすために、とっても重要なお話をさせていただきました。
窓の付属部材を設置するに終わらず、暮らしの中で適切に開閉することが室内環境に大きく影響していきますので、パッシブデザインは設計しておしまい、ではないということです。

断熱性能の向上を目指す中で、日射遮へいを見落とすと夏大変な思いをすることになりますので、パッシブデザインの5つの要素をしっかり覚えていきましょう。


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