パッシブデザイン5つのデザイン その3『通風(自然風利用)』


今回はパッシブデザイン5要素のうち3つ目のお話は、『通風(自然風利用)』についてです。

自然風利用を意識した設計の狙いは、次の2つです。

①低温の風を室内に入れることで涼感を得る。
②建物内に溜まった熱を外に排熱する

どちらからも低温の風を通すほど効果が大きくなるので、自然風利用は外気温が比較的低いときに行うことが有効であることがわかります。
つまり、7月~8月の盛夏には日中に風を通すことを考えるのではなく、外気温が下がる日没から夜間にかけて風を通すことが重要になります。

春や秋の中間期であれば日中でも風を通し効果的に涼感を得ることができます。
ただ、お住まいの地域によりますので、暮らしの中で効果を得られる時期や時間帯を探っていくことが必要です。
また、敷地に一定の風が吹かない条件のところであれば、どれだけ自然風利用のため設計を考えても無駄になってしまいます。
有効に自然風利用するためには、「一定に涼しい風が吹く」点を敷地条件とすることも大切です。

自然風利用のポイント

①全方位通風の確保:すべての方向(建物の4面)から吹いてくる風を通すように考える。
②ウィンドキャッチャーの活用:窓を平行に吹いてくる風を捕まえる工夫を考える。
③高窓の設置:最上階の上部に、排熱に有効な窓を設ける。
④立体通風の考慮:上下方向に吹く風を意識した窓配置を考える。
⑤窓面積・室内開口部面積の確保:一定以上に風が通る窓面積を確保する。
⑥卓越風向の意識:その地域や敷地に「よく吹く風向き」を意識する。



全方位通風の確保



高窓の設置

立体通風の意識


自然風利用の効果を得るためには、適切に窓を開けたり閉めたりすることがとても重要で、暮らし方の工夫で家の中にいい風が通ります。

暮らし方でその家の快適さを探っていけるのもパッシブデザインの醍醐味になります。


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